春うらら|梅田なみ
春は怖い
伸びるぜんまい
土の中からふきのとう
同じくぞろぞろと虫 虫 虫
わらわらわら
わらわらわら
上へ上へ もっと高く
自然が騒ぎだすと
人もまた騒ぎだす
キャッキャと騒ぐ受験生
異動になった会社員
ざわざわざわ
ざわざわざわ
電車の中も落ち着かない
春の力はいつも上へと向かう
天まで突き上げ
頭打ちになった強烈なリピドーは
姿を変え禍々しくうねっていく
ひばり舞う突き抜けた空
見上げると
黒紫の渦が墨を垂らすように広がる
頬を撫でるぬるんだ風に
肌の奥がざわつく
やめて
やめて
連れてかないで
おいで
おいで
こっちはいいよ
咲狂うピンクの枝が震えるたび
風のざわめきが言葉に変わる
しにたい
たすけて
あははは
うふふふ
怖い怖い
春はずぶずぶと
土の下に沈んでいたい



