でも、これしかないと、わたし | 山本茂伸

青く水気を含んだ煙が、細く空に登る
風になびきながら、大気と混ざり消えて

空がどんなに高くても、わたしはここに
真理がどんなに深くても、わたしはいるだけ

梵鐘の音も、真理を語る声明も、
深みも、高みも、言葉だと思う

角砂糖のような身体と、朝に孵化した蜉蝣の心
知り得たものはすでになく、知り得るものは遠ざかる

3000年前人は心を知り、迷い、すがった
語る人が生まれ、苦が刻まれる

ただ、生き、ただ死ぬことができない時代、心があるから

大気圏まで届く言葉の、重層的な逃れがたさ
救われるはずが、重みに耐えかねて手放す、わたしはと思う

もぎ取られるものもなくなり、体重の重さだけの重さ
軽いと感じるわたしがいて、空が見える

これで良いかどうかも、分からない
でも、これしかないと、わたし

空がどんなに高くても、わたしはここに
真理がどんなに深くても、わたしはいるだけ

2026年03月06日|ポエムポスト:ポエムポスト