アリスワンダーランド|葉森月子
今日こそ歩こう!
急いで洗濯物を干して外へ出た
右へ行くか左へ行くか
おもむくままに進んでいく
大きなお屋敷の敷地に
果樹がたわわになっている
八朔、柚子、檸檬
あの大きな実は朱欒かな
ごっくんと唾液を飲み込んだ
トコトコ歩く
民家を抜けて山の方へ
まだ紅葉が残る山々は美しい
一台の車とすれ違う
あれ?と思ったらジルちゃんだ
「あら!こんなところで!!」
「今、水汲みに行ってきたんよ」
こんなところで会えるなんてなんだか嬉しい
私も安産の滝まで行って水を一口頂き帰路へ
トコトコ トコトコ
来た道を歩く
もう家がすぐのところまで来たとき
ふと壊れかけた看板が目に入った
「ため池」とある
でも池など見えない
その先に小さな道があった
こんな道知らなかった
恐る恐る進んでみる
その小さな道は木々に囲まれ
落ち葉の絨毯で覆い尽くされていた
ざくぅ ざくぅ
落ち葉を踏み締めて進むと
その先に小さな池がひっそりとあらわれた
とても穏やかな水面に気持ちよさそうに水鳥が浮かんでいた
まるで絵本の中に迷い込んだかの情景に
しばしうっとりしながらも恐怖を感じた
30年近く住んでいてなぜ気づかなかったのか?
明日はもうあの池は消えているのかもしれない



