グルジェフとダージリン | 葉森月子
蔵の中に響くピアノの音色
頭の上から降り注ぐその音をずっと聴いていた
どこか懐かしい民族的な短調の響き
彼女はずっとグルジェフを弾いている
今日のあなたは無口な喫茶店のマスターの役
ゆっくりとお茶を淹れる
蔵の2階には若いお嬢さんが2人
ノートPCを持ち込んで静かに仕事をしている
隣のパン屋さんからは楽しげな笑い声
でも今日のあなたは無口なマスター
おしゃべりには参加しない
ただピアノの音色を聴く
拍子が変わった!
グルジェフがぐるぐると踊りだす
どこの地方の舞曲だろう?
知らないけど知っている
魂に響く音色は何か同じような色なのだと思う
とっておきの紅茶を淹れよう
ダージリンファーストフラッシュ!
紅茶を計って適温の湯をポットに注ぐ
春摘みの一番茶は少し低めの85度が適温
喫茶店をやるために買った温度設定できるケトルの出番だ
2分半蒸らしてカップへ注ぐ
春摘みの若い茶葉の香りが広がる
今度は舌で味わう
うん、想像通り
鼻の奥から喉にダージリン
耳からグルジェフ
蔵の灯り
小さな窓から見える緑
午後3時の完璧な流れ
グルジェフにはダージリンがよく似合う




