雌猫の遠吠え|久利摩紀子

そう
昔から私は
掻き立てる人でありたかった
性的に
婉曲に

ただ
掻き立てる相手は
私が掻き立てたい相手以外であってはならない
他のものは私に興味など示さなくていい

そして
私が掻き立てたい相手は
必ず掻き立てられなければならない
そして心に消えない傷を負わなければならない

その傷がどうなるのか
私には知るよしもない
つけたくて仕方がなかった
傷は
残ってくれているんだろうか?

傷は消えていない
まだ重さがあり
まだ痛みがあり
景色が色褪せない
青い絨毯

私は傷をつけたいのだ
本当の傷だけを
たまらなく甘美な
消えない傷を

私はその傷をつける凶器を
生み出すことができるか?

2025年10月04日|ポエムポスト:ポエムポスト