イモムシ モムモム
モムモム イモムシ
モムモム モムモム
モムモム モムモム
行きたいところに
まっしぐら
モムモム モムモム
ワクワク ワクワク
何回落ちても
ムーン ムーン
上へ 上へ
ムーン ムーン
ボテッ モムモム
モムモム モムモム
ボテッ モムモム
モムモム モムモム
こっちがすっかり疲れはてた頃
ついに観念
モムモムやめて
かわいく まあるく
おさまった
そして 最後は
ネオンイエロー
とっても綺麗な
サナギになって
ある日パタパタ飛んでった
このページでは、当館に設置した「ポエムポスト」に投函された詩・短歌・俳句を掲載しています。
ご来館の際には、ぜひ皆様ご投稿ください。
ポエムポスト
- 2025年11月06日
- モムモムのうた|久利摩紀子
- 2025年10月14日
- あわいを生きる|山本茂伸
- 2025年10月06日
- 私は泣くことを忘れた|山本茂伸
- 2025年10月04日
- 雌猫の遠吠え|久利摩紀子
投稿作品
あわいを生きる|山本茂伸
あわいが好きだ
路地の曲がり角、水と地のあわい
川と海の交わる汽水の町
どこまでも広がる灰色の空
沈黙と音、影の色
繋いだ手と手、見つめ合う心と心のあわい
捨てられた言葉と拾われた言葉
ずるくて、いい加減な自分がいるが、それも悪くはなかった
あわいを生きる、これが私にここちよい
中途半端で意思が弱くて、限りなく曖昧だけれど
空と海が溶け合うところ
秋と冬のあわい
夢か現実か分からない日常
過去と未来の真ん中に私はいたい
私は泣くことを忘れた|山本茂伸
言葉が止まり
沈黙が流れる
私は泣きたいと思った。
大声をあげて
肩震わせ
泣いてみたい
最後に泣いた日を思い出せない
泣き方が思い出せない
幾重にも重なった愛憎の翼が
くるくると、くるくると回りながら
私のもとを去ったとき
私は泣くことを忘れた。
幾度、初雪を眺めても
去ったものは戻らなかった
凍てつく川の上で
冬の日の影を落として
強く足踏みをする
厚く閉ざされた氷の上で
私は知る
凍てつくものが心にもあると
春を待つものが心にもあると
泣いてみたい
大声上げ
肩震わせて
沈黙が止まり
言葉がながれ、今日もまた一日が始まる
雌猫の遠吠え|久利摩紀子
そう
昔から私は
掻き立てる人でありたかった
性的に
婉曲に
ただ
掻き立てる相手は
私が掻き立てたい相手以外であってはならない
他のものは私に興味など示さなくていい
そして
私が掻き立てたい相手は
必ず掻き立てられなければならない
そして心に消えない傷を負わなければならない
その傷がどうなるのか
私には知るよしもない
つけたくて仕方がなかった
傷は
残ってくれているんだろうか?
傷は消えていない
まだ重さがあり
まだ痛みがあり
景色が色褪せない
青い絨毯
私は傷をつけたいのだ
本当の傷だけを
たまらなく甘美な
消えない傷を
私はその傷をつける凶器を
生み出すことができるか?
先生の引き出し|梅田なみ
先生の頭の中には宇宙があって
塵や芥に混じって、音の引き出しがぷかぷかと浮かんでいる
先生はレッスンの時、無数に浮かぶそれらの中から
『これかな』とオルタードの引き出しをひょいと取り出し
鍵盤の上にパラパラと落とす
引き出しの中で眠っていた音符は鍵盤にこぼれると手をつないでswingし始める
そしてくるくる回ったり、時には輪が途切れてウエーブになったりしている
私は部屋に漂ういくつかの音をそっとつまんで、自分の引き出しにしまう
そうしてこぼさないように持ち帰る
先生の頭の中には宇宙があって
塵や芥や引き出しの向こうに ブラックホールが見える
先生はコンサートの時たまにそこに手を突っ込み ぎゅいんと何かを引き出す
引き出された黒い塊は鍵盤の上で二つに分かれ
それぞれゴウと唸りながら螺旋を描いて舞い上がる
竜巻になった塊たちは時にぶつかり合い クラッシュし
八分音符の切先が鎌のように飛んでくる
演奏が終わると竜巻はブラックホールに吸い込まれ
壁のあちこちに刺さっていた八分音符も消え
嵐が去った後の舞台には
シルクハットを被った被った先生がただ静かにピアノの前に座っているだけだ
先生の頭の中の宇宙は 音楽の歴史
長い長い積み重ねが塵や芥やブラックホールを生み出した
私の頭の中は真っ白で、まだ数個しか引き出しはない
引き出しはいっぱいもちたいけれど、ブラックホールは怖いような気がする
杉雨駄句五|杉雨
雷鳴は きこえず耳聾 我ひとり
まず頼む 杉之木もあり 夏木立 (芭蕉にちなむ)
夏祭り 柿の葉寿司は 母の味
廃校の さびしさよそに 盆おどり
夏空に 東京行の 飛行雲
平行線が交わるときに|山本茂伸
右肩の丸みに拡散された光を感じたので今日は休日だと思った。
あぁいい日だと喜んだ。
光に向かって解放されていく自分がいる。
ウォシュレットの調子もいい。
しかし、トイレを出て今日は金曜日だと気づいた。
休日の先取りをしてしまった。
ところが気分はもう休日なので後戻りできない。
白く平板でそよ風が吹いている気分を無駄にはしたくない。
が仕事人の私は、慌ててダイヤリーを見る
予定通り、ほぼ真っ白で、今日もこの先も予定がない。
実は仕事がないので、えんえんと、休日なのだ。
開店休業という便利な言葉もあるが、詩人でもある私は使いたくない。
やはり休業日を設ける方が良いと思い、けじめをつける意味でも土日を定休日にした。
週休3日という流れもあるが、それでは怠惰な感じがする。
ここは社会のためにも土日だけを休みにした。
空白だけのダイヤリーはまぶしくて明るい。
グレーで美しく細い罫線が何本も引かれている。均等に平行に。
この平行線はいつか交わるのだろうかと思った。交わるとどうなるのだろう。
交わるはずのないものが交わるとどうなるのだろう。
ダイヤリーの中から8月9日という日が浮かび上がった。
80年前、すべての日常が一瞬にそして永遠に失われた日だ。
人間というものの暴力が最高度に達した日
暴力が世界を征服した日。
ダイヤリーの平行線は、意味なく暴力を受けた人の悲しみの地層の上に描かれた線だ。
暴力と絶対に交わることのない人々が、いわれのない暴力と交わった一日。
真っ白なダイヤリーの下層には、私には想像もできない人の苦しみと悲しみと悔しさの地層がある。
延々と積み重なった悲しみの地層の上に私の呑気なダイヤリーは開いている。
戦争という線が、日々の営みという線に、ゆっくりと近づいてきている気配がする。
交わることのない線を曲げるものがいる。
誰も望まないことを、望む一握りの人たちによって。
ゆっくりとダイヤリーを閉じる。光が消えて日常が戻る。
愛おしいと思った。
貧乏でもいいやと小さな声で言った。
メメント モリ|梅田なみ
私は立ったまま
ベッドに横たわる彼女の額にそっと触れる
頬からは生気が抜け 額はひんやりしている
私は彼女を見下ろし 額に触れた手をすべらせ 髪を梳く
そして思う
あなたは死にかけ 私は生きている
メメントモリ
死を想へ
長方形の空間から出ることのない
死が隣にある人々
彼らに触れ
死を想い
あろうことか 生の喜びを感じるのは 許しがたい冒涜
メメントモリ
でも 彼らは教えてくれている
いつか私も
この長方形の空間に横たわる
そして 額に手を置かれ
誰かに見下ろされる時が来ることを




